シゴトラベル in 万協製薬株式会社 経営者に直撃インタビュー！
三重県多気町にある万協製薬株式会社は、業界では誰もが知る外用薬・スキンケア商品の開発・製造を手掛けるメーカー。今回は、万協製薬の松浦社長にお話を伺いました。（※2021年春に実施した取材型プログラム「シゴトラベル2021春」の内容を記事にしています。）
担当ライター玄界灘博士
年齢は永遠の30（サンゼロ）歳。会社紹介のナビゲーターとして地域の面白い会社やスゴ腕経営者を経営している。健康オタクで白湯しか飲まない。その素性は謎に包まれている。
松浦社長にお話を伺いました
はじめに、万協製薬株式会社について教えてください。
弊社は1960年に神戸市で創業し、1995年におきた阪神淡路大震災をきっかけに、1996年に会社を三重県多気町へ移転しました。現在は6つの工場で、皆さんが知っているうがい薬のポピドンヨード製剤など1年に約50品目もの製品を開発し、顧客数も115社に上ります。おそらく新製品の販売件数は製薬会社で日本一です。
それはすごい！ いま、社長が力を入れていることは何でしょうか。
万協製薬では「社員の成長」が「組織の成長」につながると確信し、会社独自のキャリア支援に力を入れています。例えば「モジュールシステム」と呼ばれる全組織のマニュアル化による教育評価システムや、「ジョブローテーション」という、仕事を覚えれば、社内の別業務に転職できる仕組みがあります。
色んな制度があるのですね。
特徴的な取組として、「プチコミファミリー」という制度があります。例えばプチコミファミリーは、部署や入社年の異なる社員でグループ化し、親睦を深めてもらうという取り組みです。プチコミファミリーの食事代や旅行代として、年1回10万円を支給しています。
珍しい制度ですね。 会社に行くのが楽しくなりそうです。
現在は、障害者を採用したり、兼業を認めたり、育休や介護休暇でも3年ぐらいは休めるように、働きやすい環境を用意しています。これ以外のことでも会社に相談していただければ、認めるようにしています。こうした取組によって様々な賞をいただいています。
学生が松浦社長に直球質問！
阪神淡路大震災を経験しているとお聞きしました。東海地方でも南海トラフ地震が起きると言われていますが、企業としての対策や地域貢献として準備はされていますか？
地域や行政機関と連携して防災基地になるよう、ボランティア教育も社員のみならず地域の方向けに行っています。また社内にも様々な防災の仕組みを取り入れているため、会社説明会に来てくれた方には細かくご説明をします。ちなみにBCP（災害などの緊急事態における企業や団体の事業継続計画）の日本防災大賞もいただきました。
先日、新聞で東日本大震災により全壊した水産加工業者の記事を読みました。「復興給付金を利用し設備は戻ったものの、売上は戻っていない」と書いてありました。企業によってさまざまな事情はあると思いますが、御社が阪神淡路大震災を経験されたにもかかわらず、ここまで立て直すことができた秘訣を教えてください。
実は、阪神淡路大震災のときは支援金などほとんどありませんでした。ですから、戦略を変えました。震災以前は自社商品のみ作っていましたが、被災後は他社の商品開発、その中でもスキンケア商品のみを作ることにしました。
そうなのですね！
市場ではA社とB社が戦っているように見えて、実は両方の商品を作っているのが万協製薬。漫画の中では悟空とベジータが戦っているけど、実はどちらも鳥山明先生が描いている。そういう構図なのですね。どんどんお客様とフュージョンしていっています。
（笑）
とにかく新しいことを考えて戦略的に勝つという方法を取らないと生き残れません。ダーウィンの名言にあるように「最も優れた生物が生き残るのではなく、変化に対応できる生物が生き残る」のです。私たちは自分たちのビジネスの形を変えて能力を高めていった。これが秘訣です。
ありがとうございます。 会社の体質を日々環境に合わせて変化するということが大事なのですね。
まさにその通りです。
たくさん商品を取り扱っていますが、 商品を知ってもらうためにしていることはあるのでしょうか。
商品を売るのはお客様、商品を作るのが私たちという構図です。万協製薬の商品を売ってもらっているのではなく、お客様である企業の商品を製造しているので、洋服の仕立て屋のような立ち位置にいます。商品を私たちが企画して作り、企業がCMを流すことによって、顧客に商品を大量に購入いただくという仕組みです。
そうなのですね
企業であるお客様は、お客様の名前で商品を作りたい。ブランドを作りたい。ですから主役を立てて、私たちの名前は表に出さない。三重県だから忍者のように（笑）ひっそりと。
でも、名前を出さないことのメリットも実はあるんですよ。
万協製薬には研究室があるとのことですが、その部署に入りたい場合はどのような知識を勉強しておく必要がありますか。
そうですね…絶対に必要なのものがあります。
何でしょうか。
自動車運転免許ですね。
（笑）
三重県多気郡多気町という自然豊かな場所にありますので、車に乗れないと通勤ができないですね。
あとは、センサーキーで出社のボタンが押せるかどうかです。
なるほど…（笑）
このような様々な苦難が必要ですが、研究の仕事は基本的には理系の学部をでていたら大丈夫です。
必ずしも薬学部の知識が必要ではないということですか？
必要ありません。仕事の内容は科学分析が多く、初めはガスクロマトグラフィーの分析から始めていただきます。インターンシップに参加いただければ体験できますよ！
会社内で家族のようなグループを作る「プチコミファミリー」制度について質問があります。勤続年数が短い人の離職を減らす取り組みとして、「会社の中に相談できる人がいない」という意見が多かったので、この制度を始めたと書いてありましたが、相談ができないような相談があったから離職率が高かったのですか？
上司は部下を査定して指導する立場の人です。なので、新入社員にとっては、上司に相談すること＝自分の弱みを見せることになってしまい、直属の上司にはなかなか相談しにくいということがありました。他の課の上司なら、比較的相談しやすくなりますよね。
他の方に聞き、その人を介して本音を聞くという仕組みをしているのですね。
はい。それから、先輩社員は後輩社員の面倒を見るという教育もできますよね。
プチコミファミリー内で人間関係が悪化した場合の措置はありますか？
家族といってもそこまで多くの時間を共有するわけではありません。また1年単位で家族はローテーションをします。そのローテーションも含めて楽しんでもらっていますよ。
プチコミファミリーのような仕組みは 他社ではあまりない制度なので魅力的です。
ありがとうございます。私は万協製薬を日本でもっとも開発志向で面白い会社にしたいです。私は毎日会社に行く立場ですから、まず自分が会社に行きたくなるような楽しい会社づくりを目指しています。
ありがとうございました！
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玄界灘博士
いかがだったかな？松浦社長のユーモアあふれる会話の中にも、社員の成長や働きやすさを大事にしていることがよく伝わったであろう。少しでも興味を持った方は同社のHPをチェックしてみよう！