「地域に根ざして、愛される、そんな工務店です」ー株式会社辻工務店ー
2022年夏に実施した取材型プログラム「シゴトラベル2022夏」の内容を記事にしています。
担当ライターキャリアお悩み大学生
辻工務店はどんな会社ですか？
辻工務店は、三重県津市の大門という飲食店街にあります。辻工務店は、大門が戦後で壊滅状態の中、1945年に立ち上がりました。企業、銀行、自動車販売店などオフィス・店舗の建設の仕事を行っています。たまに住宅も手掛けていますよ。
一般的な工務店とは違って、お寺や茶室の建築も行われているとのことなんですが、建てる上で住宅などとの違いはありますか？
最近の住宅は、プラモデルみたいにビスさえあれば作れるものが主流になっています。その一方で、茶室やお寺は木を彫ったり、削ったりと生の素材を持ってきて加工する工程があるため、作れる職人さんが限られてくる難しさがありますね。
なるほど、ではそういった技術の継承に関して、何か取り組まれているんですか？
実は辻工務店の中には大工はいないんですよ（笑）
どこの業界も縦割りだけど、建設業もすごく分業化されているんですね。一つの建築をしようと思うと30〜40職種ほどの職人さんが絡んで来ます。そういったときに、職人さんと設計士さんを上手に橋渡しするのがうちの仕事なんです。いわゆる施工管理というやつですね。ただ、「工務店」といっても形態は様々で、うちとは違って大工さんばっかりというところもあったりするんです。
となるとお客さんは家を建ててほしい人ということになりますか？
そうですね。例えば、ハウスメーカーさんだと設計～建築まで全部やってくれますよね。一方、辻工務店は最初に家を建てたい人が相談に来る場所だと思ってもらえれば。そこからどのくらいお金がかかるかの見積もりを出したりしています。
続いて吉田社長についてインタビュー！辻工務店さんは地域に根ざす企業方針を取っているとのことですが、どのように地域と関わってこられたのですか。
昔は地域の横の繋がりがあったそうです。初代社長の頃は、戦後に起業した方々の集まりが沢山あって、その中で知り合ったお客様から今も引き続きお仕事をいただいています。例えば、今のように教習所が無かった時代に、何とか車を売りたい会社の社長様、たまたま広い土地を持っていた会社の社長様、建設工事ができるうちの初代社長、が寄り合って、どんなことができるか考えて、実際に教習所をつくってしまった！
なんて逸話を聞いたこともあります。３人とも豪快な方だったんだと思います。ちなみに、この２つの会社は今でもお仕事をいただくこともありますし、仕事以外の面でも色々と良くしてもらっています。
そうした背景があって、今の方針にもつながっているのですね。ちなみに、他社との差別化ポイントはありますか？
僕は数年前に三重県に来たのですが、こちらに来た当初は大門のまちを歩くと、僕はしらないけど、周りの人が僕のことを知っていることが良くありました。「君が辻さんとこの婿さんか。」っていう感じですね。同じ町の中にあるということもあるかもしれませんが、この地域に溶け込んでいるっていう点が強みだと考えます。今後は技術をうまく継承できたらとも思っています。
新しい取り組みなどされているのでしょうか？
今年の春、わくわくスイッチさんの事業で某大学のインターン生が来てくれました。うちの会社は小さな会社なので、いまの仕事にプラスで住宅を少しだけやりたいっていう気持ちがありました。そこで、ちょっととがった家のデザインをしてもらいました。ニッチだけど、何人かは必ず住みたい家はないか。と色々調べてもらって、結果的には「水族館のあるいえ」、魚と暮らす。をコンセプトにした住宅を計画してもらいました。今後はこれをもって、熱帯魚屋さんにPRしたいと思っています。
今後の展望を教えてください。
先ほどの話ともつながりますが、うちの会社は個人の住宅が少ないので、まずはそこを伸ばしたいと思っています。業態が違えば「海外に行こう」と思うかもしれませんが、建設業は建てるためのルールが国によって違うので、私たちの持っている技術や知識では中々海外で建築を作ることは難しいと感じています。同じ建築でも設計をしている方は海外に出ていく方もいらっしゃいますね。
実は僕の祖父や祖母は農業をしていたので、農業も興味がありますし、建築屋さんとして木を使っているので、林業もやりたいなぁとも思います。どちらも、就業者が減っているけど、食べ物や建物が無くなったらみんな困るので、無くならない業界だと思います。
どういった方に辻工務店さんのお話が届いてほしいと思いますか？
辻工務店がというよりも、建設業界に興味がなかった方がちょっとでも意識するようになったらいいなと思います。適材適所で働くことができるため、建設業のイメージや先入観が少しでも変化するといいなと感じます。
続いて若手社員の平岡さんにインタビュー！
平岡さんは、三重のご出身とのことですが、地元に就職した理由はなんですか？
地元に貢献できればと思っていました。特に三重県外に行く考えはなかったです。就職した当時はコロナがひどい時期で、大工さんの仕事は地域に密着するイメージがあったため、辻工務店へ就職することにしました。
建築業界の魅力、好きなところを教えてください。
自分が経験したことや学んだことが反映されていくことが魅力だと考えます。また、資格なども取れば自分のできる幅が増えていったりします。
最後にメッセージをお願いします！
僕は、業種を絞って就職活動をしたんですが、働いていく中で就活していた時にもっといろんな人に会って、様々な話を聞けば、もっと人生の選択肢が広がったなぁと今更ながら感じています。是非、こういった機会を大事にして、沢山の人とお話をして、本当にやりたいことを見つけていただければと思います。
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